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帰ってきてご家族の反応はどうでしたか。また、ご自身の心境に変化はありましたか?

友輔さん:自分の帰りを特に喜んでくれたのが祖父でした。笑顔で「安心した」と話す姿を見て、「帰ってきたことは間違いじゃなかった」と心底思いましたね。帰ってきてからは父と役割分担しながら製造作業を行っています。祖父や父のように自分も目新しい菓子を作らなきゃというプレッシャーを感じますが、焦りや不安、重圧はそれほどありません。父や母が元気でいることに甘えているのでしょうね……。でも、「自分が何とかしないと」という自立心は帰ってきてからの方が断然強くなりました。いつまでも両親におんぶや抱っこではいられませんから。

経験値は父の方が断然上だが、自分も今までしっかり勉強してきた自負がある。だからこそ友輔さんは、製造する上で感じた改善点などは臆することなく意見するという。そこが自分の良さでもあると話してくれた

友輔さんが手掛けたお菓子があると聞きます。どんなお菓子ですか?

友輔さん:2019年に発売した「あけ六つくれ六つ」という商品です。卵黄と白あんで作った黄身羽二重の中にこしあんで包んだ栗が入っていて、大吾の主力である「爾比久良(にいくら)」という商品がモデルになっています。完全オリジナルとは言えませんが、レシピやデザインは全て自分で考えました。大吾で修行してきた証を形に残すことができたとも思っています。商品名や形は、安中の名所「碓氷峠関所跡」が由来にもなっているんですよ。

半年かけて完成させたというあけ六つくれ六つ。
商品名は関所の開閉時間を表し、デザインは関所の屋根材・懸魚(げぎょ)を表現している

あけ六つくれ六つ以外にも、地域色を取り入れた商品がありますね。

友輔さん:妙義山になぞらえた「奇峰の雪」や碓氷峠をイメージした「峠道」です。どちらも地域色を取り入れているほか、チョコレートを使用した洋風の味わいになっています。

奇峰の雪
峠道

“洋”を取り入れた菓子づくりは、今後ますます求められる部分ですか?

友輔さん:洋菓子の方が好まれる時代ですからね。自分もよく食べますし、美味しいとも感じます(笑)。最近では和菓子と洋菓子の境目はなくなりつつあり、和菓子に括り過ぎない方がいいとさえ感じることもあります。とはいえ、和菓子屋である以上、そこを疎かにすることはできない。和菓子らしさや伝統を大切にした上で、時代の流れを汲み取っていけたらと思っています。

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