ジーカラットは伝統から流行まで群馬を中心としたウェブマガジンです。

女将さんの言葉や行動におもてなしの心を感じますが、きめ細やかなサービスを心掛けるようになったきっかけは何ですか?

左側が鈴木徳治さん夫妻。お客さん想いの人だった

女将さん:私の母がサービス精神旺盛な人だったんです。お漬物やお惣菜を作っては、しょっちゅうサービスでお客様にお出ししていましたから。母も人が喜んでいる姿を見るのが大好きだった。そんな母を見て育ったから、兄も私も人を喜ばせたいという気持ちが強いのかもしれません。

そんな真心から、コロナ禍でも大それたサービスを実施したそうですね。

女将さん:外出自粛要請もあり、お客様が全く来てくれない状況が続いて。従業員もいるから何とかやっていかなくちゃっていう気持ちもあったのですが、それ以上にお客様を元気づけたいって思ったんです。それで、思い切ってテイクアウト商品を全部5割り引きにしました。もちろんうちの儲けはゼロ。それでも、電話から離れられないくらい毎日たくさんの問い合わせをいただいて。嬉しかったですね。それを機に来店してくれた新規のお客様もいましたし、常連になってくれた方もいました。

飲食店に打撃を与えたコロナ禍も、大切にしてきたおもてなしの心で乗り切ったのですね。

女将さん:コロナに限らず、今まで色んなことがありました。波がない時なんてなかったと思います。それでも、父がいて母がいて兄がいたから、やってこられました。鈴木の人間がいなくなってしまった今が、私にとっては一番大変かもしれません。それでも、長く続けさせてもらったお店ですし、ここで終わらせるわけにはいかないんです。

ご主人の稔さんや一人娘の奈穂さんもお店を手伝ってくれていますね。

右から、女将さんのご主人で5代目の稔さんと、奈穂さん・貴士さん夫婦

女将さん:主人は別の仕事をしていましたが、私との結婚を機に店に入ってくれました。現在は5代目として店を支えるほか、経理を担当しています。奈穂は私の影響からか行員をしていましたが、身体を動かす接客業の方が性に合っていると言って、数年前から店を手伝い始めました。その内、もともと板前として働いていた貴士と結婚して、夫婦で私たちをサポートしてくれています。貴士は真面目で仕事熱心。うちの父も生前、「貴士と奈穂が結婚してくれたら」なんて言っていたほどです。そういう意味では、やっぱり今が一番幸せなのかもしれない。

新たな力を追い風に、今後はどのように展開していくのでしょうか?

女将さん:父や兄に比べたら発想力には欠けるかもしれません。でも、その分、今まで以上におもてなしの心やサービスを拡充できたら。時代に即した試みなども取り入れていきたいと思いますが、大それたことは考えていません。それよりも、この場所とお客様を大切に、これからもお店を続けていけたらいいなと思っています。

編集後記


 取材スタート時は、老舗の風格を漂わせる立派な店構えに思わず体が硬くなってしまったが、気さくに対応してくれる女将さんのおかげですぐに緊張はほぐれていった。ほかの店にない取り組みや経営スタイルで目を引いてきた初日総本店。特に、3代目・鈴木徳治さんや4代目・憲保さんの功績が大きかったことは周知のことかもしれない。しかし、今回の取材で見えたのは、才気煥発な経営者の陰で静かに輝く女性ならではの視点や気配りの深さだった。取材中、何度も「お客様を喜ばせたい」「喜ぶ顔を見るのが好きだ」と話していた女将さん。ハレの日に食すことが多い寿司に、おもてなしという彩りが加わることで特別感が生まれ、唯一無二のひと時につながる。そして、お客様を大事にする心の底にあるのは、かけがえのない家族への愛情と絆だったように思う。店は今、転換期を迎えようとしているところだが、きっと今後も変わることなく、家族を思うようにお客様を大事にし続けるのだろう。今回の取材を通じて、同店が長きに渡って多くの人に愛され、支持されるゆえんを垣間見ることができたと感じる。

初日総本店 / 前橋市

【初日総本店 より】
お子さまからお年寄りまで、幅広い年齢層にご利用いただけるよう、畳部屋はイステーブルを配し、バリアフリーにも対応しております。お寿司はもちろん、旬のものをできるだけ利用したお料理のコースも豊富に取り揃えてお待ちしております。

住所前橋市六供町554-3
TEL0120-01-5555
営業時間:ランチ 11:30~14:30 ディナー 17:00~22:00(ラストオーダー 21:30)
お持ち帰りやご予約等のお電話は10:00頃より受け付けております。中休みもお電話承ります。
店休日:火曜日
駐車場:70台

1 2 3 4

5

コメント

この記事へのコメントはありません。

RELATED

関連記事

PAGE TOP