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あんなかどんなか?〈磯部編〉

百年物の煎餅型、お馴染みの赤い缶。磯部煎餅の歴史を伝える老舗店。(栄泉堂)

栄泉堂(安中市磯部)

JR磯部駅から徒歩3分。磯部煎餅の老舗「栄泉堂」さんは、明治の終わり頃創業の老舗店です。

創業当時のずっしりとした古めかしい金属の型を今でも使用し、一枚一枚丁寧に煎餅を焼き上げています。商品が並ぶお店の奥には工房があり、道に面した大きな窓から煎餅を焼く様子を見ることができます。

お店の壁には、昭和10年の「一等賞」の「褒状」と、昭和32年の「第十四回全國菓子大博覧會」の「金賞牌」の賞状が並んでいます。店主の関口さんにお話を伺いました。

「磯部が温泉地として脚光を浴びていた頃は、町に煎餅型を修理する職人さんがいたり、磯部煎餅を入れる缶を作る缶屋さんがいたりしました。また軽井沢のお土産品として、『淺間煎餅』の名前で軽井沢にも卸していました。ただ、『淺間』は軍艦の名前だったので、『淺間煎餅』の商標登録がとれなかったと聞いています。当店も『淺間煎餅』の名を入れて、戦後1970年頃までは軽井沢の土産物店へ卸していました。今はもう『淺間煎餅』は製造していません。」

「お馴染みの赤い缶は、店名を入れずに全店共通で作ればコストを抑えられるとのことで、『磯部煎餅』の専用缶として、組合で共同で発注していました。今では磯部に缶屋さんがいなくなってしまったので、川口市にある会社に発注しています。この缶に書かれている筆文字がかっこいいと、外国の方にとても喜ばれるんですよ」

磯部煎餅は、煎餅の生地に磯部温泉の鉱泉を入れることで、独特のパリッとした食感と風味を出している銘菓ですが、お店によって少しずつ味わいが異なったり、味のバリエーションがあったりするのも楽しみの一つ。栄泉堂さんは、定番の四角い磯部煎餅の他、味噌味のみそ煎餅、桑の葉入りの煎餅を作っています。みそ煎餅は小さな丸い型で薄く焼くタイプと、大きな丸い型で焼いたあとに二つ折りにするタイプの2種類あり、人によって好みが分かれるそうです。

桑の葉入り磯部煎餅は、安中総合学園高校との共同企画で考案した商品。富岡製糸場が世界遺産登録されることを受け、桑の葉を使った商品が作れないかという相談が高校からあり、開発時にはできるだけ生徒さんに関わってもらってこの商品が完成したとのことで、ラベルのデザインも生徒さん作。桑の葉の爽やかな風味が人気です。

また、栄泉堂さんには、お煎餅が一枚ずつ個包装されていない商品もあり、常連さんからはこの方が喜ばれるのだとか。お土産やギフト用だけでなく、日常のおやつにもおすすめしたい磯部煎餅です。

栄泉堂
住所 安中市磯部1-13-8
TEL 027-385-6122
営業時間 8:00~18:00(売り切れ次第終了)
店休日 木曜日
駐車場 10台

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